人間は、どのくらいの高温まで耐えることができ、どのくらいの気温で生命を失うことになるのでしょうか。
ここ最近の猛暑による影響からでしょうか、このような内容の記事がネットや雑誌などを賑わせています。
でも答えが曖昧であったり、オーバーリアクションが混じっていたりと、いまいちこれといった答えがみえてこないのが事実です。
そのなかでNASAが発表している「人間の体温の限界」の内容が、極めて科学的でありました。
そこには、人間の体温は41度を超えると生命の危機が迫り、41〜44度になると暑熱障害になり、失神、けいれん、激しい乾き、脱力感などの症状が現れ、そして45度を超えると細胞内のタンパク質に悪影響が及び生存に問題が生じてくるといった内容です。
これは人間が恒常動物として自ら体温を調節している事実と、ある程度の気温まで耐えることができるとことを言っています。
ところが、いまのような地球の温暖化が進むなかで、いったいどのくらいの気温まで人間の生命が維持できるかについては、経験がないため不明のままであると専門家たちが考えているようです。
このような事実のなかで日本の猛暑は、これからどうなるのでしょうか。
2018年の夏の猛暑がどんな意味をもっており、もし今後もこのような天気が続くのであれば、暑さに弱い高齢者たちがどのように乗り越え、どのような対策をすればよいのか、ここで紹介してみます。
< 2018年、熱中症の現状を知る>
2018年の夏、気温35度以上の猛暑日が7月前半から8月末まで日本各地で発生しました。
また気温30度以上の夏日は、6月から9月初旬まで続いて続き、もしかすると9月末までに数日あるかもしれません。
このような猛烈な暑さのなか、熱中症が原因で医療機関に救急搬送された数を、毎日消防庁がデータの公開をしています。そのデータを高齢者用にまとめたのが表1になります。でもこの2018年の救急搬送数の大きさには驚かされます。
なんと2018年は、過去に例のないほど熱中症で救急搬送された人が増え、2017年まで5万人ほどであった数字が2倍近くになったのです。それから高齢者の救急搬送数も、いっしょに増えたのです。
ここで注目してほしいのが、常に全体の半分を高齢者が占めていることです。原因は、人間が高齢になると身体の機能が低下し、猛烈な暑さに耐えられないことです。それがこの表のよって明らかになっています。
また2018年に熱中症が原因で死亡した数は、救急搬送直後に亡くなられた数を消防庁が公開し、市役所などに死亡診断書が提出された数を厚生労働省が公開しています。救急車は、医療機関に患者さんを連れていくことが任務であります。
また神奈川県を例にあげると、2018年の救急搬送者数は全国の傾向と同じような増加を示しています。2017年が2,157人、2018年が4,770人と2倍以上になっています。
このデータから、もし来年も同じような猛暑が到来するとしたら、いままで以上の熱中症対策が必須になることがわかります。もっと違う対策も新たに作らないといけないかも知れません。
<熱中症とその症状>
熱中症については、いろいろなブログやコラムなどで説明されていますが、よりわかりやすく信頼度の高い内容は、日本医学会「医学用語辞典」に記載されているものです。
熱中症とは、熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射症、日射症などの症状のうち、1つ以上該当することです。
高齢者は、身体の機能が衰えているために軽症から重症になりやすいので、立ちくらみをしたり、筋肉がふるえたりしたときは、すぐに医療機関を受診してください。
軽症とは
熱失神 皮膚が気温や湿度などに刺激されることによって熱が上がり、この影響
で血管が拡がり血圧が下がります。このときに立ちくらみや意識喪失が
起こることです。つまり暑くてふらふらしていることです。
熱けいれん 汗といっしょに塩分が出てしまうと、筋肉がけいれんを起こします。
簡単にいうと、足がつること、こむら返りを起こしていることです。
中等度(重症になる一歩手前)とは
熱疲労 大量に汗をかくことで身体から水分がなくなり脱水状態になります。
これが原因で、全身倦怠感、脱力、めまい、頭痛、吐き気、下痢などの症
状が現れます。
重症
熱射症 体温が上昇することで脳と脊髄にある神経の機能に障害が起こることで
す。
日射症 太陽が原因で起こる症状
<高齢者の熱中症予防>
暑い夏になると高齢者は、動きたくないことから家に籠もりがちになり、そして動かなくなり水分の補給を怠ってしまい、さらにエアコンの冷たい風にあたることが身体によくないものだと考えるため、軽い熱中症の症状があって加齢によるものだと思ってしまいます。そのため、熱中症が重症化されてから周りの人たちに発見することになり、とても危険なことです。特に高齢者は重症にならないように、下記の予防を心がけましょう。
エアコンを使いましょう
お茶や麦茶、できればスポーツ飲料を飲みましょう
塩分を摂りましょう
毎日、しっかりと眠りましょう
毎日、天気予報を観て気温と湿度に気をつけましょう
気温と湿気が高いときは、散歩や買い物を避けるようにしましょう
外出するときは、帽子や日傘で日よけをしましょう
外出するときは、飲み物を持ちましょう。
外出したら、こまめに日陰で休憩し水分を補給しましょう
家でも外でも、冷却グッツを携帯しましょう
この熱中症予防は、日本気象協会が発表している内容をわかりやすく紹介しました。
<熱中症予防をはじめる前に、まずはコミュニケーションから>
高齢者は、いままで生きてきた多くの経験から、自分なりの活動ルールをもっています。
それは大変素晴らしいことであり、尊敬されるものです。しかし昨今の気象は、いままでに経験したことのない異常な状況になっています。
これは2018年だけでなく、これらもっと凄い猛暑が発生するだろうと考えなくてはいけません。
これまでの常識が通じない、もっとも生命を脅かす温暖化の時代になっていると考えるべきでしょう。
これを避けるための予防策として、いろいろなことがいわれています。しかし、この予防策を知り実行するには、周囲の人たちの協力があってのことだと考えましょう。協力者になるのが、家族であったり、ケアマネジャーであったり、訪問医療マッサージの人であったりします。
このような人たちと、常にコミュニケーションをとり健康状態を確認し合うことによって、来年も到来するかも知れない猛暑対策をいまからはじめましょう。
ひとりだけで熱中症予防をするのではなく、周りの人たちを巻き込むようして35度以上の猛暑対策をしましょう。
先ほどまでの暑さを覚えているいまのうちに!